石川直生は言い続けてきた
『俺がキックボクシングを引っ張っていく。
大舞台に上がってキックボクシングの魅力を伝えたい。』
オールドファンには鼻で笑われた。
「そんなしょっぱい試合でなにを勘違いしてるんだよ」
ライバルたちにもあざ笑われた
「口ばっかりの目立ちたがり屋がまた言ってやがる」
それでも石川は言い続けた。
その言葉が自らをさらに危険な立場に追い込むとわかっていても。
耳が聞こえないわけじゃない。
鈍感な勘違い野郎呼ばわりされてもずっと言い続けた。
石川が言っていることは何年も前から変わらない。
その言葉の高みに追いつくため努力をしてきた。
世に出る糸口と見るや、必ず手を挙げて挑戦を続けてきた。
そして要らなかったはずの苦難までも乗り越えてきた。
2009年11月2日、
空を駆けた石川の姿に、後楽園ホールはその年一番の歓声で揺れた。
もうしょっぱい試合の石川じゃない。
試合で魅せてくれる石川直生がいる。
ずっと言い続ける。あきらめない。
そうしたら
ほんの少し前まで、
誰もが無謀だと思っていた、
誰もが無理だと思っていた。
石川直生のK-1出場が実現した。
石川がずっと見据えていたところに、時代がやってきた。
彼は完全なるプロフェッショナル意識の持ち主で、勘違いは我々の方だったのかもしれない。なぜなら時代をたぐり寄せたのだから。
派手な言動はプロなればこそ。
石川は言う。
「強くなるだけじゃしょうがない、お客さんにその試合を面白いと思ってもらわなければ魅力は伝わらない。」
自ら道を拓き、扉をこじ開けてようやく辿り着いたK-1というステージ。
年齢も階級的にも苦しい条件。
だけど石川直生という、この男ならきっとやってくれる。
華のある選手には大舞台こそが相応しい。
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